◇新卒教師から見れば,他の教師は余裕があるように見えます。
授業にも余裕があるように見える。
学級経営にも余裕がある。
そして,子どもへの対応も,余裕がある。
そう見えるのです。
しかも,隣のクラスの方が,子どもが育っているように見えます。
自分以外の全てが,優れているように見えるのです。
◇そして,ベテラン教師の真似を始めます。
ベテランのしゃべり方を真似します。
ベテランの子どもへの対応を真似します。
例えば,ベテランが冗談を言いながら子どもに接していたら,自分も真似をしてみて,冗談を言いながら子どもに接してみるのです。
授業が脱線しているように見えたら,自分もそうしてみるのです。
隣の学級が,楽しいイベントをやっていたら,自分もやってみようとするのです。
◇さて,こうして,ベテラン教師の真似をするとどうなるでしょう?
これは多くの場合,「大失敗」します。
それは,授業でも学級経営でも,「原理・原則」に沿ってでしか,できないからです。
この「原理・原則」を知らずして,真似だけしてみても,自分の授業や学級経営に合わないのです。
もう少し詳しく言えば,学級経営の成長段階への意識無くして,今ふさわしい指導の選択はできないのです。
簡単な例で言えば,まだまだ基礎基本の習得ができていないクラスで,いきなり探究をさせても,それは無謀というものです。
教師と子どもとの関係がきっちりできていないのに,冗談ばかり言って接するのは,とてもまずいのです。一気に信頼を失いかねません。
◇隣の芝生は青く見えます。
隣の教師の学級はよく見えます。
隣の教師の指導はすばらしいように見えます。
でも,その指導が,今必要なのかどうか,今ふさわしいかどうかは,別問題です。
こうして,新卒教師の学級はますます荒れていくのです。
学級は,「荒れていくか,それとも成長するか」の二つに一つです。
停滞することはありません。
はっきり言えば,荒れる学級は,ますます荒れます。
成長する学級は,ますます成長します。
そのどちらかでしかないのです。
この現実を知った上で,今の学級にふさわしくない行為を教師がしたら,荒れは加速するだけなのです。