新卒教師,新採用教員が同じ失敗をしないために
◇第四の心得は,「率先垂範を意識しよう」ということです。
率先垂範とは,教師が先頭に立って,模範となる姿を見せるということです。
これも,そんなに難しいことではありません。
教師なら,当たり前にできるようなことです。
例えば,教師から「あいさつをする」ことです。
子どもに「あいさつしなさい」と言うだけでは,教師としては不十分だということです。
自分から,あいさつをすればよいのです。
「おはようございます。」「さようなら!また明日ね。」
教師から声かけをすればよいのです。
◇同じように,自分から掃除する。
自分が元気よく返事する。
自分が給食を残さず食べる。
教室をきれいにする。
トイレをきれいにする。
◇こういったことを,教師なら少しだけ意識しておきましょう,ということです。
子どもたちは思います。
「うちのクラスの先生は先生らしいなあ」と。
だから,先生として尊敬してくれるようになるのです。
率先垂範は,どんなものでもよいのです。
◇なぜ新卒教師が「模範」となる行動をしなくてはならないのか。
それには理由があります。
残念なことですが,新卒教師は,まず教師としての資質があるのかどうか,を周りが見ています。
つまり,最初からこの人は教師としての資質があるな,と周りは思ってくれていないのです。
むしろ,「この教師は新卒で学校に来たけど,本当に教師としてやっていけるのだろうか?」と疑いの目で見られていることが多いのです。
そんな中,新卒教師が「できない姿」とか,「だらしない姿」を見せたらどうなるでしょうか?
答えは簡単です。
四面楚歌の状態になるのです。
保護者や同僚,子ども,地域からも信頼を失い,「あの教師はだめだ」という烙印をおされてしまいます。
こうなると,もう何をやっても,ダメです。
最初に得た評価を覆すのは,至難の業だからです。
◇先生はだらしないからね,と「くだけた姿」をいきなり見せるのは危険なのです。
尊敬を失うどころか,信頼まで失いかねないのです。
教師を見る目はどんどん厳しくなっています。
なぜなら,若くても実力のある教師と,ベテランになっても実力がない教師と,二分化されているからです。
(ちなみに,若くても実力ある教師には誰だってなれる。そのための努力の方向がある。だから実力ある教師は,特別な存在ではない。知れば誰でも到達できる頂である。このあたりのことは,「20代でプロの教師になれる(新版「大前流教師道」(学事出版)に書いた。)
保護者も子どもも見抜いています。この教師は口では美辞麗句を言うが,教える実力もなければ,教師としての資質にも欠けていると。
◇まず教師こそが模範を見せる。
その意識をもって毎日を過ごすと,行動が自然と変化します。
この意識をもっていない教師と,もっている教師とでは,学校での行動が,全てレベルが違ってきます。
こうして,実力をつけることができ,周りからの信頼も得て,教師生活は充実するのです。
ただ,率先垂範にも,やり方があります。
そのあたりのことは,
「若い教師がぶつかる「壁」を乗り越える指導法!」(学陽書房),
「1ミリの変化が指導を変える! 学級&授業づくり成功のコツ」(明治図書),
「学級経営に活かす 教師のリーダーシップ入門」(金子書房),
に示しました。