新卒教師,新採用教員が同じ失敗をしないために
◇新卒1年目を終えて,誰もが気付くことがあります。
それは,次のことです。
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教育の方法を知らなければ,何も太刀打ちできない。
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学校現場は,選択や決断の連続です。
子どもが泣いています。どう対応しますか。
喧嘩が起きました。どう対応しますか。
不登校になってしまいました。どう対応しますか。
子どもへの対応だけでも,たくさんの選択や決断をしなくてはなりません。
数ある優れた教育方法から,今の状況に合った教育方法を選択するのです。
そして,その教育方法を実行するという決断をするのです。
状況に応じて,その状況に合った教育方法は,千差万別です。
だからこそ,教育方法を知らずして,教師の仕事をすることの無謀さに気付くわけです。
多くの人は,1年かかって,ようやく気付きます。
センスのある人で,4月に学校に赴任してから,一ヶ月で気付くでしょう。
自分のクラスだけが,騒乱状態であること。
子どもが成長していないこと。
なぜか,トラブルばかりが自分のクラスで起きること。
普通は,自分のクラスだけ「おかしい」ことを認めたくありません。
それで,「まあ,いつか何とかなるだろう」と,そのまま教師生活を続けてしまうわけです。
でも一年も経てば,差は歴然としています。
学習発表会で,自分のクラスだけ,学習の成果を発表できない。
平均点が1学期よりも3学期の方が下がっている。
3学期になると,保護者からのクレームが急に増えた・・・。
嫌でもこういう状況に向き合わなくてはならないからです。
◇ほとんどの新卒教師は,上の状況に陥っています。
そして,精神的にも身体的にも疲弊していくのです。
大学時代は,生き生きとしていた人も,1年で別人のようにやつれることになるのです。
見る影もなくなってしまうのです。
しかし,忘れてはならないことがあります。
それは,新卒教師でも,子どもを伸ばすことができるということです。
学級経営に成功している人がいるということです。
子どもや保護者からの信頼も厚く,生き生きと教師生活を楽しむ人がいるのです。
才能の違いでしょうか。いえ,そんなことはありません。
たまたま,学校がよかったのでしょうか。いえ,そんなことはありえません。
答えはとてもシンプルで簡単なことです。
単に,教育の方法をきちんと学んでいたということです。
ただし,「協働が大切だ」とか,「主体性を重んじて」とか,そういう抽象的なことをいくら学んでも,何の解決にもなりません。
学級崩壊にまで陥った新卒教師が,いろいろなベテラン教師や校長からアドバイスを受けて,全員でその学級を立て直そうとしましたが,まったくの無駄でした。
学級はどんどん悪くなっていきました。
完全に崩壊し,授業は騒乱状態,紙飛行機がいくつも舞う中で一日は終わっていきました。
「協働が大切だ」,「子どもはすばらしい可能性を秘めている」,「主体性を重んじた支援を」,美辞麗句をいくら新卒教師に言っても,何も状況は変わりませんでした。
これは当たり前のことです。
現場ではもっと具体的な,この状況でどうしたらよいのかの,具体的な方法が求められるからです。
新卒教師でも,子どもを伸ばしている人はいます。
伸ばせない人と何が違うのか。
それを1年かかってやっと気付けるのです。