◇授業には技術がある。
しかも,カテゴリー別に,たくさんの技術があるのだ。
例えば,教師主導で,授業を進めるための技術。
発問や指示,組み立てなどがその代表例である。
他にも,学習者中心で授業を進めるための技術もある。
様々な学習法を組み合わせて,展開を考える技術もある。
個別指導の技術もある。
教え方の技術もある。
教材開発の技術もある。
授業技能に関わるものもある。
授業技能に関わるものといえば,例えば「授業のリズム」である。
◇「教育技術論」を読んだ。
著者は海後勝雄氏である。1939年に刊行されている。
◇その中で、授業の進行には「リズム」が大切だという主張があった。
かなり以前から、授業の技術が認識されているのだと驚いた。
教師が特別意識していなくても、心地よい進行具合になる。
◇研究授業の際にも,よいリズムだと活動がスムーズに展開する。
時間的に2つの活動しかできないと思っていたら,3つも活動できたといった具合である。
参観者から,
「子どもの動きが実にスムーズですね。」
「授業が流れるようにと進みましたね。」
などと感想をいただく。
子どもをほめられるのは,教師なら誰だって嬉しいものだ。
◇授業にリズムを生み出すための要件は何か。
海後勝雄氏の「教育技術論」では、次のような主張がなされている。
『教師に、「知識と教養」と「技術」が豊富なこと』
◇これは、今ならよくわかる。
知識も技術もないところに、余裕は生まれない。
授業では予期できないことも多々ある。
指導案通りに進行しないこともある。
また、子どもの反応も様々だ。
わからない顔をしている子もいれば、はやく発表したいという子もいる。
そのとき、そのときでどう対応していくかは、教師の知識の豊富さによるところが大きい。
やはり、本で学ぶ必要がある。
◇私達教師に必要なのは,「授業の技術を集大成した本」である。
こんな本は,一冊しかない。
この本には,カテゴリー別に,授業の技術を紹介している。
それも,学制発布以来,150年の日本における授業技術に加え,外国の授業実践から抽出した授業技術も載せたものである。
若いうちに,この本に載ってあることを,学べることは,奇跡に近いことである。
何せ,授業技術大全といったような書籍は,皆無だったのだから。